「奥歯」の大切な役割

インプラント治療 奥歯
奥歯は食べ物を噛む上で、大変重要な役割を果たしています。奥歯がない状態が続くと、しっかり噛めないだけでなく、噛み合わせがずれて、身体のバランスを崩します。

噛み合わせのずれにより起きる症状として、肩こりや首の痛み、姿勢が悪くなる、腰の痛み、目の疲れ、耳鳴り、顎関節症など、が考えられます。

もちろん、噛み合わせのずれ以外にも原因が考えられることもありますが、噛み合わせのずれはさまざまな悪影響を与えてしまうことは知られています。

そもそも「奥歯」とは?

奥歯とは、前から数えると6番目の第一大臼歯から、親知らずと言われている第三大臼歯までの歯のことで、上下左右合わせて合計12本あります。

親知らずは、うまく生えてこれなかったり、埋もれたままになっている方もいますので、通常、第一大臼歯と第二大臼歯の上下左右の合計8本を治療の対象としています。

奥歯は「臼の歯」と書きますが、文字通り餅つきに使われる臼のような形をしています。
この形から、食べ物を噛んだ時に細かく砕いたり、すり潰すことに優れています。

特に、第一大臼歯は、食べ物を噛む際に非常に重要な役割を果たしている歯です。

噛む力は歯の中で最も大きいほか、第一大臼歯によって噛み合わせの高さが決まってきます。

そのため、第一大臼歯がないとしっかり噛めなくなってしまうだけでなく、噛み合わせ全体が崩れてしまうのです。

奥歯にインプラントをいれることは、部分入れ歯にはないさまざまなメリットがあります。

奥歯をインプラントにするメリット

もしも奥歯がなくなってしまったら、インプラントや入れ歯、ブリッジなどの治療法がありますが、それぞれの治療法にはメリットとデメリットがあります。

その中でも、奥歯の治療に最適といえるのがインプラントです。

前歯のように目立たない奥歯をインプラントにする必要などないのでは?と思われるかもしれませんが、奥歯こそインプラントの長所が十分に生かされる場所だといえます。

入れ歯のような痛みや違和感がない

入れ歯は歯ぐきや健康な歯に負担がかかって痛いことがあります。
もちろん、うまく歯科医院で調整することで痛くなく使えるようにもできますが、食べ物を噛むときに、前歯や犬歯と違って奥歯には大きな力がかかるため、入れ歯が合っていない場合、強く噛むと入れ歯が歯ぐきにあたって痛みを感じることがあります。

一方、奥歯のインプラントは、自分の歯のように噛めるため、入れ歯のような違和感がありません。

しっかり噛めるようになる

奥歯に限らず、歯が無くなってしまった場合に行われる歯科治療の中で、嚙む力が最も天然の歯に近いと言われているのがインプラントです。

インプラントの素材として使われているチタンは、骨に埋め込むと周囲の組織と固く結合する性質があるため、時間の経過とともに骨にがっちりと結合し、しっかり噛めるようになります。部分入れ歯では、噛み合わせのずれを治すことはできますが、固定されていない分、不安定さが残ります。

発音がしやすくなる

奥歯がないと、そこから息が漏れて、発音が不明瞭になってしまうことがあります。

特に、「き」「し」「ち」などのイ段の発音がうまくできない場合があります。

また、入れ歯の場合、歯ぐきやご自分の歯と合わないと、話している最中にずれたり外れたりすることがありますが、奥歯にインプラントを入れることによって会話中のストレスが軽減されます。

骨がやせるのを遅らせることができる

ヒトの骨は、吸収(骨がへること)と再生(骨がふえること)を繰り返し、新しい組織へと生まれ変わります。

入れ歯やブリッジの場合、骨に刺激が伝わらないため骨の吸収が進みやすいのですが、奥歯をインプラントにするとしっかり噛めることが骨の再製にとって良い刺激となり、かえって骨の吸収が抑えられます。

噛み合わせが安定しやすい

奥歯がない場合、噛み合わせがずれてしまっていることがほとんどです。

それにより、肩こりや頭痛などが引き起こされるほか、顔のゆがみ、口元のゆがみなども見られることがあります。

インプラントで噛み合わせを調整することで、体全体の左右のバランスが整い、歯だけではないさまざまな不快な症状が軽くなることもあります。

大幅な噛み合わせのずれを補正する場合には、マウスピース(ファンクションプレート)による咬み合わせの改善を図ってから、インプラント治療に移るのが望ましいです。

奥歯をインプラントにするデメリット

骨の量が足りない場合は骨をつくる処置が必要

インプラントをする周囲の歯がしっかりしていれば、問題なくインプラントができるのですが、骨の高さや量が不十分だとそのままインプラントを埋め込むことができません。

そのため、インプラントをする部分の骨を増やす処置を行う必要があります。

十分な骨の量を確保したうえで、インプラントを入れる必要があります。

治療の期間が長い場合がある

骨の状態やインプラントの手術方法によって、個人差がありますが、入れ歯やブリッジなどの歯科治療に比べて、治療にかかる期間が長くなることがあります。

インプラントが骨と結合するまで待たなければならないのですが、当院で取り扱っているストローマンインプラントは、骨との結合も早く、治療期間が長期化するのを防ぐことができるようになりました。

定期的なメンテナンスが必要

デメリットというものでもありませんが、インプラントを長く使い続けるためには、治療後のメンテナンスが大変重要となります。

定期的にインプラントや周囲組織の状態を確認するほか、ご自宅での歯みがきの仕方をチェックすること、インプラントの周囲のクリーニングを行なうことにより、インプラントの寿命を長くさせることにつながるのです。

特に、歯周病に似た症状のインプラント周囲炎は、なかなかご自身でも気づくことができなことが多く、そのまま処置が遅れると、インプラントの脱落の可能性が高くなることがあります。歯ぐきの腫れや出血、インプラントがぐらぐらするなど、インプラント周囲炎の症状を早く発見し、治療に結びつかせるためにも、定期的なメンテナンスを忘れずに受けることが非常に大切です。

もちろん、定期的なメンテナンスは、ご自身の歯を健康に長く持たせることにもつながります。