インプラント治療

インプラントとは

医療目的で使用される、体内に埋め込まれる医療機器や材料の総称です。医療で使われる用語のインプラントは implantのことで、元々は「しっかり植え付ける」「差し込む」などの意味があります。

歯科においては、なくなってしまった歯や、もともと歯のない部分を補うために、顎の骨に埋め込まれる人工の歯の根のことを指しています。

整形外科では、人工関節や骨と骨をつなぐプレートやスクリューなどもインプラントと呼ばれます。

歯科におけるインプラントは特に「デンタルインプラント(歯科インプラント)」と呼ばれますが、最近ではインプラント治療が普及とともに、歯科用のインプラントのことを単に「インプラント」と呼ぶことが多くなりました。

歯のない部分に、ネジのような形をした人工歯根(インプラント)を埋め込み、その上に人工の歯(セラミックなど)を装着して歯を補う治療がインプラント治療です。歯科においてのインプラントには、純チタンあるいはチタン合金が使われています。


チタン問金属は、生体親和性(人間の身体となじみがよいこと)に優れています。また、骨と直接、非常に強く結合する性質があります。

今でこそ、チタンが歯科用インプラントに使われるには常識になってきましたが、骨とチタンの相性が良いことは、たまたま発見されたと言われています。

1952年、スウェーデンの整形外科医・ブローネマルク博士が、動物実験中に偶然、骨の中に埋め込まれたチタンを外すことができなかったことより、チタンが骨と非常に強く結合することを発見しました。

また、アレルギーが起きにくく、生体内で長期的に安定しているため、歯科の分野だけではなく整形外科でもインプラントとして使用されています。

当院で取り扱っているストローマンインプラントも、もちろんチタン製ですが、従来のまたは他社のインプラントに比べ、より骨と強固につながるための工夫が随所に施されています。

インプラントの構造・仕組み

インプラント

インプラントは、以下の3つで構成されていて、それぞれの患者様に適した形や材料を選択いたします。

  • インプラント体(人工歯根)・・・歯ぐきより下の見えない部分
  • 上部構造(人工の歯)・・・歯ぐきより上の見える部分
  • アバットメント(支台)・・・人工歯根と人工歯をつないでいる部分。外からは見えない

インプラント体(人工歯根)

当院で取り扱っているインプラントは、ストローマンインプラント(ストローマン社・スイス製)です。

ストローマンインプラントはチタン製です。チタンは骨と強固に結合(オッセオインテグレーション)し、インプラント自体が骨とがっちりと結合すると、よく噛める歯として機能します。

インプラントには色々な形・表面の性質・太さ・長さのものがあり、治療する場所(前歯か奥歯)や、骨の状態などにより患者様のとって適切なインプラントが選択されます。

上部構造(人工の歯)

人工歯には次のようにいくつか種類があり、見た目・強度・費用などで違いがあります。人工歯に適した材質は、治療する場所(前歯か奥歯)や患者様の噛み合わせの状態によって選択します。

アバットメント(支台)

アバットメントは人工歯と人工歯根をつなぐ連結部分のことです。インプラントとアバットメントの精密で良好な連結が、いかにインプラントを長持ちさせられるかにも関わります。ストローマンのアバットメントは、非常に精緻な構造となっており、歯ぐきの下と上の構造物を確実につなぎ、長期安定させることを可能としました。

インプラント治療を考えるのはどんなとき?

歯周病やむし歯で歯を失ったとき

歯を失ってしまう大きな2つの原因は、歯周病とむし歯(う蝕)です。歯周病やむし歯によって歯を失った場合、インプラント治療により歯を補うことができます。
抜歯の原因
出典:安藤雄一先生. 歯の喪失の原因. e-ヘルスネット. 厚生労働省. (2020)

歯の根が折れてしまったり、事故により歯を失ったりしたとき

すでに差し歯になっている歯などは特に、強い力がかかった場合に歯の根が割れてしまったり、事故で歯をぶつけたとき歯が折れたり抜けたりすることがあります。歯の根が折れた場合、多くはそのまま残しておくことが難しく、歯の根の部分を抜かざるを得ないことが多いのですが、多くはインプラントによる治療が可能です。

また、事故により歯が抜けてしまった場合も、インプラント治療により歯を補うことができます。

生まれつき歯の本数が足りていないとき

生まれつき永久歯がなく、歯が生えてこない場合があります。乳歯が抜けたあと永久歯が生えてこない場合、インプラントにより自然な歯を入れる選択が可能です。ただし、歯の無い部分のスペースが、本来あるべきスペースより足りない場合などは、矯正治療により、周りの歯の位置を整える必要があります。

もともと永久歯が無い場合に限らず、歯並びが悪い場合は、噛み合わせも悪くなっていたり、アゴの位置もずれていたりする場合も多いものです。ファンクショナルプレートを使った咬合(こうごう)治療や、歯並びの矯正治療を行ない、噛み合わせのバランスをとってからインプラント治療をすると、見た目もきれいで機能的な治療ができます。

インプラントのメリット

きちんとした診査診断のもとに治療を行えば、従来からあるブリッジや入れ歯といった治療法に比べて、非常に多くのメリットのある治療法でもあるのです。「これ以上歯を失くしたくない」「歯を削りたくない」「硬い物も食べたい」「自分の歯を取り戻したい」そのようにお考えの方にも非常に有効な治療法です。

  • 歯の無い部分に単独で作ることができるので、他の歯に負担をかけない
  • 天然の歯のように噛んだ感じが心地よい
  • 入れ歯のような異物感がない
  • 天然の歯のように作ることができるので、見た目がきれい
  • 歯が1本だけ無い場合、数本だけない場合、また全部無い場合などさまざまな状況に対応できる

インプラントのデメリット

インプラントには手術が必要で、誰でも必ずできるわけではありません。また、治療期間もかかります。メリットの多いインプラント治療ですが、このようなデメリットもしっかり理解しておきましょう。

  • 手術の必要がある
  • ブリッジや入れ歯と比べて治療期間が長くなることが多い
  • 骨を増やす治療が必要になる場合がある(人工の歯の根を入れるところの骨が少ないとき)
  • 全身の他の疾患がある場合、手術をすることが難しい場合がある

インプラント治療のリスクとは

インプラントの脱落(うまく結合しない)

インプラント手術の成功率は約98%と報告されていますが、2%の症例では何らかの理由により、インプラントが骨とうまく結合せず脱落してしまう場合があります。

ストローマンインプラントで治療を受けられた患者様の、スイスのベルン大学の10年間の研究報告によれば、痛みや異物感、インプラントが動く、インプラントの周囲に炎症がみられないなど、成功基準をクリアした成功率は全体の97%となっています。
 
さらには、インプラントが脱落せずに残っている割合は98.8%と非常に高く、ストローマンインプラントがいかに長持ちするかがわかります。
 
5年目と10年目の結果では、インプラントが残っている率はほとんど変わらなかったという結果も出ており、インプラントはメンテナンスをしっかりして正しく使うことで、天然の歯と同じように長く使い続けることができることも実証されています。

インプラントの脱落を防ぐには、綿密な計画のもと慎重に手術を行うことや、術後の患者様に注意事項等を守っていただくことが重要です。

インプラント周囲炎

インプラント
インプラントの周囲にも、天然の歯でおきる歯肉炎のように、インプラント周囲炎が起きる場合があります。

インプラントの周囲の歯ぐきに炎症が起きて骨が溶けると、インプラント周囲の粘膜が痩せて、インプラント本体(チタンの金属)が露出してくることがあるのです。天然の歯でいう、歯ぐきが下がった状態に似ています。

インプラント周囲炎にならないように、ご自身による適切なメンテナンスや歯科医院にて行なうメンテナンスが欠かせません。

インプラント治療 感染予防対策
使い捨て器具の使用、適切な手順での滅菌にて感染予防対策を行っております。

インプラントと人工の歯をつないでいるネジが緩む

インプラントの上に装着される人工の歯は、連結部分であるアバットメントとネジで装着されています。緩んでいる場合は、ネジを締めなおす必要があります。

万一ネジが緩んできても、ご本人は気づかない場合がありますから、定期的に検診を受けていただき、ネジの緩みをチェックしましょう。

人工の歯が欠ける

天然の歯への被せ物と同じように、インプラントに装着された人工の歯も欠ける場合があります。インプラント治療後も、定期的な噛み合わせのチェックや調整を行うことで予防します。万が一、欠けてしまった場合は、修理や人工の歯作り直しがあるということを知っておきましょう。

インプラント治療の流れ

当院で取り扱っているストローマンインプラントは、患者様の骨の状態、骨の質や量、治療する場所などによって適切なものを選択できるよう、あらゆるケースに対応できるようになっています。

インプラント治療では、インプラントを顎の骨に埋入する外科的手術が必要です。インプラントを入れる予定の場所に麻酔をさせていただき、インプラントを骨に入れる手術を行います。

手術は、「インプラントを骨に入れる手術」「インプラントとかぶせ物をつなぐ際に行なう手術」の2回に分けて行なわれます。

1. 初診相談
2. 検査、診断
3. インプラント埋入
4. インプラント体と骨の結合まで待機
5. アバットメント取付
6. 人工歯作製のための型取り
7. 土台と人工歯の取り付け

インプラント治療後のメンテナンス

治療後の衛生管理が大切

インプラント
インプラント治療は、人工の歯が入ったら終わりというわけではありません。インプラントを健全な状態で長持ちさせるためには、インプラントはもちろんのこと、残っている歯も清潔に保ち、定期的に検診を受け、メンテナンスを行う必要があります。インプラント治療が成功しても、治療後にお口の中の衛生管理ができていなければ、インプラントは歯周病菌などに感染して、インプラント周囲炎になることがあるのです。

また、定期的に噛み合わせのチェックを行い、必要に応じて調整を行います。

天然歯と同様のメンテナンスを

天然の歯には、歯の根と歯の埋まっている骨をつなぐ歯根膜というクッションの役割をする部分があります。一方、インプラントには歯根膜がなく骨に直接くっついています

インプラントは人工の歯なので、ムシ歯にはなりません。しかし、歯の周りにつくネバネバとしたプラーク(歯垢)は、インプラントの周囲にも付着するのです。インプラント周囲の歯ぐきが炎症を起こすと、歯周病と同じような状態になることがあります。

インプラントを長持ちさせようとすると、ご自分の歯を大切にするのと同じように、しっかりとしたメンテナンスが必要です。

引っ越し等で転院することになっても安心

PATIENT PASSPORT(患者パスポート) が発行されるため、次の歯科医院への引き継ぎがスムーズです。

  • 世界中にストローマンインプラントを取り扱う歯科医院が存在
  • PATIENT PASSPORT(患者パスポート)を持っていくとインプラントの情報がわかる

インプラント 患者パスポート

PATIENT PASSPORT(患者パスポート) には以下の情報が記載されます。

  • 製品番号
  • ロット番号

ストローマン公式サイトの「製品確認ツール」にて「製品番号(REF)」と「ロット番号」を入力するだけで、埋めたインプラント
が純正のストローマン製品であることを確認できます。

歯のないところでお悩みの方はご相談ください

当院で採用しているのは、骨と大変なじみの良いストローマンインプラント(世界のインプラントNo.1シェア スイス/ストローマン社製)のみです。もちろん、当院の高い技術力と併せ、安心して治療を受けていただけます。

インプラント治療の費用

クレジットカードがご利用いただけます

料金 内容
インプラント手術代 ¥300,000 手術のみの費用です。
チタンアバットメント
+ジルコニアクラウン
¥250,000
ジルコニアアバットメント
+ジルコニアクラウン
¥280,000
ジルコニアアバットメント
+ジルコニアボンドクラウン
¥300,000
インプラント用仮歯 ¥20,000 被せものが完成するまでの間に使用します。
処置料・感染予防対策費 1回¥8,000 安心、安全に治療を受けていただくための費用として、通院毎に頂戴しております。

インプラントオプション

料金 内容
サイナスリフト(骨補填材含む) ¥100,000 上顎の骨の高さをつくる術式の一つです。
ソケットリフト(骨補填材含む) ¥100,000 上顎の骨の高さをつくる術式の一つです。
スプリットクレスト(骨補填材含む) ¥100,000 骨の幅を拡げて骨を再生させる術式の一つです。

まずは噛み合わせから治療をしたい方に

「原因のわからない体の不調がある」「いきなりインプラントのことは相談しづらい」という方は、「まずは噛み合わせのみ」の相談も受け付けております。