受け口とは
下の歯が上の歯よりも前に出ている歯並びです。「反対咬合」や「下顎前突」と呼ばれることもあります。受け口は、顔を横から見たときに、顎がしゃくれたように見えやすいのが特徴です。
大人も治療可能
受け口の原因
生活習慣・ご家族の歯並び・食生活が影響することがあり、問診や精密検査を行いさまざまなデータから原因を探る必要があります。
遺伝
親が受け口だからといって100%子どもが受け口になるわけではありませんが、遺伝の影響があるとされています。受け口の原因を調べる上で参考になる情報の一つです。
口呼吸
鼻と上顎の骨は連動しています。鼻呼吸をしていると上顎に舌がおさまる形で置かれますが、舌が大きくなることによって上顎をU字のアーチに広げるので、正しい歯列になりやすいのです。口呼吸をすると上顎の成長不全が起こり、舌が下がって歯や顎を少しずつ前に押し出すことで、受け口の要因になりえます。
受け口の治療方法(手術なし)
ワイヤー矯正
歯にブラケットと呼ばれる装置とワイヤーをつけて歯並びを矯正していく、一般的な矯正治療の方法です。以前は銀色の装置が主流でしたが、現在では白く眼立ちにくい装置が登場し、患者様に選ばれています。治療中は基本的にずっと歯に装置がついたままです。
マウスピース矯正
透明のマウスピースを使って歯並びを矯正していく方法です。装置には、アライナーやインビザラインなどがあります。ワイヤー矯正と比べて目立ちにくいのがメリットですが、装着を忘れたり、紛失したりする可能性があるのがデメリットです。
抜歯は必要?
大人になってからの受け口の治療であっても、抜歯をしないケースは多くあります。ただし、親知らずが生えてくるスペースがなく、親知らずが横向きに成長している場合、親知らずのみを抜歯することは考えられるでしょう。
「受け口は小臼歯を抜歯しないと治らない」と診断される場合がありますが、まずは非抜歯治療が可能であるか当院へご相談ください。
裏側矯正は可能?
外科手術が必要になるケースとは
下顎が大きくて長い場合
噛み合わせによって下顎が前に出ているわけではなく、骨そのものが大きく長い場合、矯正治療ではしゃくれた状態は改善されないケースがあります。
受け口を放置するとどうなる?
食事がしにくい
上の歯と下の歯が通常の反対に噛み合う状態のため、食べ物を噛みにくいというデメリットがあります。
話しにくい
舌が正しく動かず、「サ行」や「タ行」が発音しにくいので、よく発言を聞き返されるといった悩みが生じます。
特定の歯に負担がかかる
前歯が噛めていない場合、奥歯に負担がかかりすぎて、特定の歯が弱くなりやすい可能性があります。
受け口治療の注意点
数週間という短期間では治らない
数週間、数回の通院で歯並びを治すという広告を見たことがあるかもしれません。このように短期間ですぐに治す方法は「歯を削ってセラミックをかぶせる」というものです。歯並びは揃ったように見えますが、根本的な歯の位置は改善されません。どうしてもワイヤー矯正やマウスピース矯正が難しい方もいらっしゃることから、完全に否定するわけではありませんが、歯を削ると歯の寿命に悪影響を及ぼしますので、よく考えてから行いましょう。
受け口の治療にかかる費用
歯科医院によって異なる
矯正治療はほとんどが自由診療で、歯科医院によって費用が異なります。最大80万円~100万円ほどの治療費が目安です。使用する器具、検査・調整日の内容、立地などによっても費用が変わってくるでしょう。重要なのは安さだけで決めないことです。「何年も治療が終わらない」「追加で費用が必要と言われた」というトラブルも後を絶ちません。
受け口の治療の流れ
初診相談
前述のように、受け口の原因はさまざまです。初診相談では、歯並びを治療したいと思った理由など治療に関する希望をお伺いするほか、遺伝的な要素、日常の癖など、見た目やレントゲン撮影ではわからない部分も探ります。
「せっかく話を聞きに行ったのに一般的なことだけを言われて終わった」という初診相談もあるようですが、当院では患者様の時間と費用を無駄にしないために、じっくりお話をお伺いし、簡易的な検査も行います。
精密検査
初診相談で受け口の治療方針に納得できた場合は、精密検査へと進みます。お口の中をスキャンしたり、レントゲンを撮影したりして歯や顎の状態を詳しく調べるという内容です。
診断
精密検査の結果と、受け口をどのように治療していくか「治療計画」をお話しします。診断の内容でさらに納得でき、治療をしたいということであれば契約となります。矯正治療の期間は長いので、契約までにじっくり考えながら進められるのがメリットです。
装置の装着・調整
治療終了・保定
治療を終えたら、歯並びや顎の状態がどのように変化したのかを詳しく調べ、患者様に写真等資料をお見せしながらご説明します。
歯並びはそのままにしておくとまた異なる歯並びになる可能性があるのをご存じですか。美しい歯並びをキープしていくために、歯のケア方法、保定についてもお話しします。
子どもの受け口を防止する方法
鼻呼吸を促す
上顎の成長は9歳頃でほぼ完成します。それまでの期間、できるだけ早いうちに鼻呼吸へと促すトレーニングが必要です。